パラグライダーのストール練習とは?目的・流れ・身につく技術を解説

パラグライダーにはさまざまな操縦技術がありますが、その中でも超上級者が学ぶ技術のひとつが「ストール」です。

一般のフライトではできるだけ避けるべき状態ですが、安全な環境で正しく練習することで翼への理解が深まり、アクロフライトや高度な機体コントロールへの入り口となります。

今回はストール練習の目的や実際の流れ、どのような技術につながるのかを紹介しますが、自分用に書いている記事です。安易に真似や間違った情報で勘違いが起こると非常に危険です。

※パラグライダー技術全般に言えますが、状況により正しい操作が間違いにもなるし、正解にもなるものです。個人的な感想としては経験したことが無い人にはわからない部分もあると考えてます。それを承知の上でご確認ください。

ストールとは何か

ストールとは翼の迎え角を大きくしすぎることで、翼が揚力を発生できなくなった状態です。今回はフルストールを中心に話します。

通常のフライトでは翼は前進しながら揚力を生み出していますが、ブレークを深く引きすぎると速度が低下し、最終的に翼は失速します。

パラグライダーでは失速すると前進速度がほぼなくなり、機体は後方へ下がる「バックフライ」と呼ばれる状態になります。

この状態は危険を伴うため、必ず十分な高度と安全管理のもとで練習を行います。初めて失速を経験するとすぐにブレークをフルグライドにすればキャノピーのシュートはあるが、その後回復します。しかし、ストールの時間が長いとシュートも大きくなりフロントコラップスから体がキャノピーの中に入ってしまい、レスキューパラシュートも開けない状況(通称:餃子)になるととてつもなく危険です。

なぜストール練習をするのか

ストール練習の目的は単純に失速を体験することではありません。もちろん、失速を経験することは予想していない動きをするので大事ですが

本当の目的は、

・翼が失速する直前の感覚を知る
・ブレーク量と翼の反応を理解する
・失速後の挙動を学ぶ
・正しい回復操作を身につける
・アクロフライトの基礎を作る

ことにあります。

多くのパイロットは通常のフライトで失速を経験することはありません、というか失速をさせていけないのです。狭いランディングではブレークを絞って失速に近づけて降ろすことが多いので失速に入る前のストールポイントの確認をするのが有効的で、フルストールを練習する必要はありません。

ストール練習の前に必要な技術

ストール練習は上級者以上は不要です。DクラスやCCCクラスで大会出場を目指している、アクロバットフライトを目指している人以外には不要です。というよりは技術習得のリスクが非常に高いので楽しく安全に飛びたい方にはリスクが高すぎます。

一般的には次の技術が安定して行えることが望まれます。

・ピッチングコントロール
・ローリングコントロール
・スパイラルダイブ
・ウイングオーバー
・左右のスピン操作
・バックフライの理解

特にスピン練習はストールへの良い準備になります。

片翼だけを失速させる感覚を学ぶことで、翼の失速特性を理解しやすくなります。

ストール練習の流れ

1. 十分な高度を確保する

まず最も重要なのが安全高度です。

一般的にはSIVコースやレスキューボートを配置した湖上で行われます。

地上との距離に十分な余裕を持ち、万一の場合でも回復できる環境が必要です。

トップの動画は対地高度1000mで開始しています。日本だと対地400m以上が限界だと思います。可能であればアーベントや吸い上げの安定した上昇帯の中だとなお良いです。強いサーマルや山の近くは乱気流の影響が大きいので避けます。

2. 徐々にブレークを引く

いきなり深く引くのではなく、左右均等にゆっくりブレークを引いていきます。まずはストールさせる前にストールポイントの確認を十分行います。

ストールに入る前にで翼は速度を失い、後縁にシワが入り始めます。Bクラス以下だと全体もしくは翼端以外から失速することが多いので、翼が動いたらすぐにフルグライドして回復させてストールにいれず、ストールに入った場所を体で覚えます。

慣れてきたら実際にストールに入れてみます。失速直前では翼からのプレッシャーが軽くなり、機体の反応も鈍くなります。

3. ストールへ移行する

さらにブレークを引き込むと翼は完全に失速します。ここで大事なのではストールに入った場合はすぐにブレークをフルグライドにすると大きなシュートで”ぎょうざ”になり非常に危険です。経験者はストールに入ると即セーフティポジションと呼ばれるバックフライで安定する位置でブレークを固定しますが、非常に難しいです。

バックフライまでの流れ

・ブレークを均等に引きストールに入れる
・後ろに落ちるような感覚を受け、キャノピーが暴れ、回転する場合もある
・ブレークがストール位置ではキャノピーが安定しないので少し手を上げて、セーフティポジションで安定させる

後ろ向きに飛行して安定していればバックフライ状態です。

初めて経験すると非常に不思議な感覚ですが、ここで慌ててブレークを離さないことが重要です。

4. バックフライを安定させる

ストール後に一定量のブレークを維持すると、翼は安定したバックフライ状態になります。

ここでは左右バランスを保ちながら機体の動きを観察します。

全てに言えることですが、回転や傾きをブレークで操作しようとすると一瞬でツイストやシュートをして非常に危険なので、あせらず体重移動で操作します。

5. 回復操作を行う

十分に安定したら回復操作を行います。

通常は一気にブレークを開放するのではなく、機体や翼の状態に応じて適切なタイミングで開放します。

回復後は大きな前方ダイブが発生するため、必要に応じてピッチコントロールを行います。

と曖昧にしか記載できないのですが、実際にそうなのです。Bクラス機であれば大きな動きは起きにくいがAクラスでもキャノピーが真下にくるダイブになることも珍しくないです。

基本やブレークの操作量はゆっくり、キャノピーが回復した後の急な動きは通常フライトと同様に適切に素早く反応すると良いです。

ストール練習で得られるもの

ストール練習を行うと、普段のフライトでは得られない感覚を身につけられます。

例えば、

・翼の最低速度が分かる
・失速の前兆が分かる
・深いブレーク領域を使えるようになる
・ピッチコントロール能力が向上する
・アクロ技術への理解が深まる

といった効果があります。

特にアクロフライトでは、ストールの理解がほぼ必須となり、フルストールは以上飛行した際のリセット、むしろ安全のための技術で必要最低限の技です。

SATやヘリコプター、ミスティフリップ、タンブルなどの多くの技術はストール領域の理解なしには成立しません。

ストールから発展する技術

ストール練習は単独で終わるものではありません。

ここからさらに、

・スピン
・バックフライ旋回
・ヘリコプター
・ツイスター
・ミスティフリップ
・タンブル

などへ発展していきますが、ヘリコプター以下は全くできないのでまずはヘリコの練習を進めます。

特にヘリコプターは「片翼を失速寸前まで減速させながら回転を維持する」技術であり、ストールの理解が非常に重要になります。

出来ないなり調べた結果の練習内容を記載します。

・シットハーネスでフルストールの確認とバックフライでの方向変更
・ヘリコは片側失速、片側が超低速飛行の維持なので、飛行側の速度管理が重要
・ツイストはヘリコの回転軸に対して、体の重心がずれると発生するので、回転軸の中心で微調整し続ける

この練習をしま

 

まとめ

ストール練習はパラグライダーの操縦技術を大きく向上させる重要なトレーニングです。

失速という特殊な状態を安全な環境で経験することで、翼への理解が深まり、より正確なコントロールができるようになります。

ただしストールは危険を伴う技術でもあります。

必ず適切な高度と環境を確保し、経験豊富なインストラクターの指導のもとで実施することが大切です。

翼を深く理解するための第一歩として、ストール練習は非常に価値のある経験になるでしょう。

 

 

 

 

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奥山 俊
子供2人の父が世界を目指す 家族を養いながら空を飛ぶ 趣味ではなく人生を賭けた挑戦